色々な慢性疾患の治療2
べーチェット病
べーチェット病とは、口腔粘膜、外陰部潰瘍、ぶどう膜炎などを主病変とする非感染性炎症性疾患である。20から30歳台の男に多く、失明することもある。また、出現する症状を基にして、神経べーチェット症候群、腸型べーチェット症候群、血管べーチェット症候群と呼ばれることもある。
べーチェット病によく用いられる温清飲や十全大補湯には、地黄が含まれており、胃腸障害を引き起こすことがある。胃腸の弱い人には注意して用いる。体力がある場合(実証)は、口腔粘膜、外陰部の潰瘍や心下部につかえがある時には、甘草瀉心湯を用いる。外陰部の潰瘍やのぼせがある時には、温清飲を用いる。体力がない場合(虚証)は、全身倦怠がひどい時には、十全大補湯を用いる。お血のある時には、当帰芍薬散を用いる。小柴胡湯を用いる時は、間質性肺炎の発生に留意し、咳や息苦しさの症状に注意する。
体力がある場合(実証)
・甘草瀉心湯・口腔粘膜、外陰部の潰瘍や心下部につかえがある時に用いる。
・温清飲・口腔粘膜、外陰部の潰瘍やのぼせがあるに用いる。
・小柴胡湯・季肋部の苦満感がある時に用いる。
体力がない場合(虚証)
・十全大補湯湯・気と血の虚している時に用いる。
・当帰芍薬散・虚証でお血のある時に用いる。
〔実例〕22歳の女性、ベーチェット病の患者さん。2年前に某国立病院でベーチェット病と診断されている。冷え性と口内炎、外陰部の潰瘍、足の腫張の症状がある。漢方治療を希望されて来院。当帰芍薬散料加附子を処方、2か月して足の腫張が改善した。7か月後、口内炎、外陰部の潰瘍もほとんど出なくなった。約8年間経過観察中であるが、悪化はない。
〔注〕甘草瀉心湯(煎薬)(半夏5、黄ごん2.5、乾姜2.5、人参2.5、大棗2.5、黄連1、甘草3.5)