色々な慢性疾患の治療2

にきび(尋常性座瘡)

にきびは毛孔に皮膚の脂がたまり、毛孔の細菌(プロピオニバクテリウム・アクネ、表皮ブドウ球菌)から出る脂肪分解酵素により、中性脂肪から遊離脂肪酸が産生され、遊離脂肪酸が毛包の壁を刺激して炎症が起こり、にきびが形成される。思春期には、男性ホルモン(アンドロゲン)が増加し、皮膚の脂腺の機能が亢進して、毛孔に脂がたまり、毛孔を塞ぐために起こる。また、月経や便秘、精神的ストレスにより悪化する。ステロイドや抗てんかん薬で、にきびが起こることがある。

・にきびの基本処方は清上防風湯である。清上防風湯は、顔面の熱を冷やす効果があり炎症を抑える効能がある。中間証(一部実証)に用いる。虚証の患者には用いることはできない。虚証の患者に清上防風湯を用いると効果はなく悪化することがある。清上防風湯や桃核承気湯をにきびの治療に用いると、下痢をする場合があるので注意が必要である。桃核承気湯はお血や便秘のひどい人の、にきびの薬であり、実証に用いる。実証でお血があり、便秘がない時には桂枝茯苓丸加よく苡仁(エキスもある)を用いる。

・虚証には、当帰芍薬散加よく苡仁(エキスでは当帰芍薬散+よく苡仁エキス)を用いる。当帰芍薬散は虚証に用いるが、当帰が含まれるので、軟便になることがあり、川きゅうが含まれているので、胃腸障害が起こることがある。煎薬を用いて治療する場合、胃腸の弱い患者を治療する時には、当帰と川きゅうの量を減らすことが大切であり、場合によっては人参3gを加味するとよい。エキスでは、当帰芍薬散の量を減量して用いて、人参湯を少量加えるとよい。

・日常生活の注意点としては、規則正しい生活をして、十分な睡眠をとり、食事に注意し、ストレスを避け、便秘にならないようにする。

日常生活の注意点

1、規則正しい生活をする。(十分な睡眠をとり、ストレスを避ける。)

2、顔面の皮膚への物理的刺激を避ける。

3、化粧品については、油脂性のクリームやファンデーションは使わない方が良い。

4、食事に注意する。(チョコレート、ピーナッツ、クリーム、コーヒー、ココア、豚肉、もち、くるみ等は避ける。)

5、よく、洗顔洗髪をする。

6、便秘にならないようにする。

にきびの西洋医学的治療

外用薬:

・アクアチムクリーム・ナジフロキサン含有のクリームでプロピオニバクテリウム・アクネや表皮ブドウ球菌に効果がある。ローション(20ml)もある。

・クンメルフェルド液・硫黄剤で角栓除去効果があり、夜、振盪混和液を塗る。

内服薬:

テトラサイクリン(抗生物質)・毛孔の細菌に有効である。

にきびの漢方治療

体力がある場合(実証)

・桂枝茯苓丸加よく苡仁:実証のにきびに用いられる。

・桃核承気湯:便秘のひどい人のにきびの薬である。

体力ふつうの場合(中間証)

・清上防風湯:にきびの第一選択薬である。

体力がない場合(虚証)

・当帰芍薬散:虚証のにきびの薬である。