色々な慢性疾患の治療2

月経困難症

月経困難症とは月経の時および月経前にさまざまな障害が出現し、日常生活に支障をきたすことを言う。下腹部痛、腰痛、下腹部膨満感や重圧感などが主要な症状で、起き上がることができず鎮痛剤、鎮静剤を必要とする場合は病的である。

月経困難症には、子宮筋腫、子宮内膜症、骨盤内臓器炎症などの器質的原因と女性ホルモンが過剰な場合や不足した場合、女性ホルモンと黄体ホルモンのバランス異常などの機能的原因に分けられる。

西洋医学的治療では、それぞれの原因に応じたホルモン療法や手術療法などが行なわれる。

漢方療法では、月経困難症は、基本的には「血」の病気として考え治療するが、「気」「水」の異常も絡んでいるのは言うまでもない。「血」の滞った異常状態を「お血(おけつ)」と言い、月経困難症は、主に「お血」のために起こってくると考えられている。漢方治療では、お血を治療する薬を駆〓血薬と言うが、月経困難症に限らず、婦人の病気には駆お血薬が数多く用いられる。

体力がある場合(実証)

・桂枝茯苓丸・腹力充実してお血のある時に用いる。

体力ふつう場合(中間証)

・当帰芍薬散・眩暈やお血のある時に用いる。

体力がない場合(虚証)

・当帰建中湯・胃腸が弱くて、お血のある時に用いる。

〔実例〕22歳、未婚の女性、ひどい月経痛を漢方薬で治療して欲しいと訴えて来院した。かなり以前から月経痛がひどく、月経不順もあった。冷え症で胃腸が弱く、脈は沈細。腹診では腹力は軟弱で、心下部の抵抗と左下腹部に圧痛がある。当帰芍薬散料加附子人参(附子0・4、人参3)を与えて、1カ月後に附子0・8。2カ月後には附子2グラムとした。3カ月後、今回の月経で初めて鎮痛剤を服用しなかった。以後、漢方薬で良好な経過である。

〔実例〕16歳、女性、月経の出血が1か月以上続いていると訴えて来院した。初潮は13歳で以来、月経不順であった。脈は細で弱い。腹診では腹力は中等度で、下腹部全体に圧痛があり、きゅう帰膠艾湯(煎じ薬)を与えた。1週間後、出血はかなり少なくなっていた。立ちくらみがあるという訴えがあり、当帰芍薬散料に転方した。2週間後3月9日には出血は完全に止まった。その後は、良好な経過である。